ブス美容総合研究所

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中年でも恋すりゃキレイになる【前編】ブスとおばさんの美容と自己認識

 

ブスとおばさんの美容と自己認識のお話。

 

朝、顔を洗おうと鏡を見たら、

知らない顔がいた。

 


ほうれい線?

 

そう呼ぶにはくっきりしすぎてて、

 

もはや“轍(わだち)”。

 


ぬか漬けのキュウリもびっくりの、

立派な年輪がそこにあった。

 

 

しかもその下、

フェイスラインはどこへやら。

 


「輪郭」が「余白」になっていた。

肌はやる気をなくし、

目元は生気をなくし、


…おい、これ、誰だよ。

 

 

って言いたくなるけど、言えない。
だって、どこからどう見ても、自分だった。

 

 


 

思えば私は、恋に向かない女だった。

 

お調子者で、自虐キャラ。


「キレイぶるなんて、笑われる」

って思い込んで
“女”のスイッチは基本オフ。

というか、ブレーカーごと落としてた。

 

それでも、ながーい事付き合った人がいた。


同い年で、顔が良くて、

口が悪くて、でも、優しいとこもあって。


大恋愛だった。

 

必死で背伸びして、

彼に似合う女になろうとした。


ブスだから、尽くさなきゃって。

 

でもそれ、

恋というより“労働”だったのかもしれない。


自我を殺して、選ばれ続ける事が価値で

浮気も許した。自己評価の担保にして、


「また選ばれますように」

と祈りながら付き合ってた。

 


で、そんな恋が終わったあとも

私は、変わらなかった。

 


ダメージを受けた。


むしろ何も変わらないことが、

いちばんダメージだった。

 

友達だけは多いから毎晩飲んで。

その日も、わちゃわちゃ渋谷に飲みに出かけて
スナックで知らんおっさんと

「目を閉じておいでよ」デュエットして


シャワーを浴びて、鏡を見たら――

 

たるみ。
ほうれい線。
むくんだまま乾燥した肌。

とんでもないババアだった。

 

「この顔のまま、

性格もブスのまま、死にたくない」


唐突に、腹の底から声が出た。


生まれて初めて、

自分の顔に本気で腹が立った。
それは、悔しさの裏返しだった。

 

それにはある理由があった。

今日の飲み会の最大のトピックでもあった。

理由。

 


ここで、スイッチが入る。
私、変わりたい。
恋でも、美容でも、人生でも何でもいい。
とにかく私は、このままじゃない私になりたかった。